近頃、「水素は健康や美容によい」などと言われているようです。コンビニエンスストアやスーパーマーケットでは「水素水」をはじめとした関連商品を見かけることが多くなりました。確かに、いろいろな動物実験の結果は、いくつかの病気に対して、水素が何らかの治療効果を持つことを示しています。もちろん、私たちも水素が病気に効いてほしいと願っています。しかし、ヒトに使った場合、本当に病気に効くのかどうか、科学的な証明はなされていません。ということは、いつかどこかで誰かが、「水素は効くのか?」について、科学的に決着させなくてはなりません。そこで、私たちは、あらゆる病状のなかでも、最も重症といえる心停止後症候群という病態に水素ガスを使って臨床試験を行うことにしました。この臨床試験は、二重盲検無作為化試験という科学的信頼性が最も高い方法で行います。世界で初めての水素を使った本格的臨床試験です。世界からも注目されています。この臨床試験で、水素には効果があるということがわかれば、その後の医療が変わると言っても過言ではないでしょう。高度な医療機器がなくても、水素ガズボンベさえあれば大病院と同じように治療ができるのですから。

私たちが使用する水素は、いわゆる「水素水」ではなく、水素ガスです。水素ガスといえば爆発を連想する方も多いかもしれません。もちろん、水素は酸素と反応して爆発しますが、ある一定の濃度以下であれば爆発の心配はないことがわかっています。治療に用いるのですから安全を最優先することは言うまでもありません。私たちはいくつかの検証を行って、どのようにすれば患者さんに安全かつ有効に水素を吸っていただけるかを検討し、その方法を確立してきました。そのノウハウを活かして今回の臨床試験にのぞみます。

今回の臨床試験は、厚生労働省から先進医療技術の認定をいただき、行うことになりました。これによって、私たちの研究グループの病院では、試験の対象となる条件を満たす患者さんは追加の治療費などのご負担を一切いただくことなく、どなたでも参加していただけるようになりました。

水素ガスが、一日も早く医療の現場で有効活用されるようになることを願っています。そして、多くの患者さんが水素ガスによって元気になられることを願っています。この臨床試験を行うにあたり、様々な方々からご支援をいただきましたことをご報告申し上げますとともに、深く御礼申し上げます。そして、この臨床試験を成功させるために、なお一層のご理解とご協力を賜りますようお願いいたします。

HYBRID Study Group
研究統括責任者 鈴木 昌